
かつて、昭和の初期に道内有数の観光施設として人気があったという「オタモイ遊園地」。その跡地の再開発について、小樽商工会議所を中心にその可能性についてここ数年検討されていたのですが、事実上計画凍結となったというニュースがありました。
2025年6月13日付北海道新聞朝刊総合欄・6月17日付小樽・後志欄に掲載されていました。
ニュースによると、小樽商工会議所や小樽観光協会などでつくる一般社団法人「オタモイ開発協議会」が、6月16日の総会で計画を事実上凍結する方針を了承したとのことです。
再開発の検討しているというニュースがあったのが2021年冬のことで、そこに小樽芸術村などを展開する家具・インテリア製造小売り最大手のニトリの似鳥昭雄会長が、専門的な地質調査などを行うためにと寄付(5千万円)をしたというニュースもあって、関係者を含め市民にも期待が広がっていたんですよね。
構想案では展望施設やジップラインといった整備計画が報告されていて、もちろん、資金面を含めて課題は多かったようですが、国の交付金活用を念頭に、中心的な事業主体を小樽市とする方向で検討を進めていたようです。
ただ、ニュースによると、断崖が続くオタモイ遊園地跡の安全を懸念する市は、天狗山の再開発を優先したいという考えもあって、早期事業化は困難との立場で、民間主導のオタモイ開発協議会のみでの資金調達は難しいとの判断になったとのことです。
寄付をしてくれたニトリの似鳥昭雄会長には、その内容をすでに伝えていたそうです。
オタモイの再開発については先送りという面もあるようで、活用策については今後も引き続き議論され、遊歩道の整備についても検討を続けるそうです。

かつてあったオタモイ遊園地は、昭和9年(1934年)にできた断崖絶壁に建つ姿がよく知られている料亭「龍宮閣」をはじめとした施設が集まる、人気の遊園地だったんですが、昭和27年(1952年)にその代表的な龍宮閣が焼失してしまい、その後、遊園地は閉鎖されます。
(1998年撮影。この中腹にオタモイ遊園地の龍宮閣があったんですね)

オタモイ 海岸の龍宮閣などがあった場所は、かつては遊歩道が整備されていたものの落石が相次ぎ、2006年(平成18年)から遊歩道は閉鎖され、以来、現在まで一帯は立ち入り禁止区域となっています。

ということで、オタモイ再開発は事実上計画凍結となりましたが、なんとか遊歩道だけでも整備されて、あの美しいオタモイ海岸の景観を楽しむことができるようになるといいですね。
(2021年9月撮影)

※関連ニュース:2025年6月20日付北海道新聞朝刊小樽・後志欄(オタモイ再開発凍結、天狗山・祝津を優先)
※オタモイ海岸オタモイ地蔵尊までの遊歩道の立入禁止について | 小樽市
※冒頭の写真はオタモイ海岸の駐車場に設置されている、写真撮影用の「フォトフレーム(Otaru Photo Frame)」です。
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※その他の過去の主なオタモイ関連の記事から。
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・令和6年度オタモイ地蔵尊例祭が6月22日にオタモイの駐車場の広場で開催されました〜地蔵堂の維持管理が今後の課題
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